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産婦人科診療ガイドライン 産科編(2023年版) CQ203 異所性妊娠の取り扱いは?

CQ203 異所性妊娠の取り扱いは?

A1 妊娠反応陽性で以下のいずれかを認める場合、異所性妊娠を疑う(B)。

 1)子宮腔内に胎嚢構造を確認できない(妊娠5~6週以降)

 2)子宮腔外に胎嚢様構造物を認める。

 3)流産手術による摘出物、または自然排出された子宮内容物に絨毛が確認されない。

 4)急性腹症を示す。

 5)ダグラス窩に多量の貯留液を認める。

 6)循環血液量減少が想定される所見(貧血、頻脈、低血圧)がある。

A2 子宮腔外に胎嚢や卵黄嚢、胎芽が確認できれば異所性妊娠と診断する(A)。

A3 超音波検査で異所性妊娠と確定できない場合は、hCG値の経時的推移も診断の参考にする(B)。

A4 診断後の治療方針(手術療法、薬物療法、待機療法)は、患者の全身状態、着床部位、hCG値、胎児心拍、腫瘤径等を参考に慎重に選択する(B)。

A5 卵管妊娠に対する手術療法としては、症例や施設の状況によって開腹手術あるいは腹腔鏡下手術のいずれかを選択する(B)。

A6 薬物療法および待機療法を選択した場合は、①性器出血、②腹腔内出血、③異所性妊娠存続症、④絨毛性疾患などに注意して経過観察する(B)。

A7 卵管温存手術療法、薬物療法、および待機療法を選択した場合は、hCG値が非妊時レベルになるまで経過観察する(C)。

A8 正所異所同時妊娠はまれであるが、生殖補助医療による妊娠では頻度が上昇することを認識する(C)。

A8は気になりますね。解説文中では、「正所異所同時妊娠は自然妊娠では15,000~30,000妊娠に1回の頻度と考えられているが、生殖補助医療による妊娠では0.15~1%前後にまで上昇する」と記載されています。気になる方はPMID 16507930 で。